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2018年 豊中市長選挙 公開質問状 中川候補の回答
回答者名:中川隆弘 候補
回答は、以下の通りです。
- 豊中市における障害者差別禁止条例の制定について
日本政府は、2014年1月20日、国連の「障害者権利条約」を批准しました。また、2016年4月には、「障害者差別解消法」「改正障害者雇用促進法」が施行され、障害を理由とする差別の禁止と合理的配慮の提供が義務付けられました。しかしまだそれらの法の趣旨が社会に根付いておらず、障害のある市民が差別を受ける状況は続いています。
また近年、聴覚に障害のある人たちの言語としての「手話」を公式言語として制定する市が増えてきております。
こうした状況のもとで、豊中市としても「障害者権利条約」の理念を具体化していくための障害者差別禁止条例の制定など積極的な対応が求められますが、以下どのようにお考えですか。
- 豊中市における「障害者差別禁止条例」の制定の必要性について、どのようにお考えですか。
- 豊中市として、障害者差別禁止条例の制定を検討していくべき
その理由:障害者差別解消法が制定され、また大阪府独自の障がい者差別解消条例も施行されている。しかし依然として許しがたい悪質な差別や偏見が存在している現状をみると市独自に厳しい内容の条例制定を検討することが必要と考える。例えば合理的配慮が大事な視点であるが、義務化までされていない。民間事業所から抵抗があるかもしれないが過剰な負担にならない限り合理的配慮を義務付けする方向で検討することが必要である。おりしもオリパラが開催されることからこの機会に差別の定義、理念も盛り込んだ条例を制定してはどうかと考える。
- 豊中市における「手話言語条例」の制定の必要性について、どのようにお考えですか。
- 豊中市として、手話言語条例の制定を検討していくべき
その理由:手話言語条例は大阪府でも独自に制定している。しかし聞こえない人が手話を習得できる場を確保するという一点に絞り限定的な内容の条例にすぎない。当事者だけではなく多くの市民が手話を学びコミュニケ−ションツ−ルとして手話を使えるようになればノ−マライゼ−ションの実現にもつながる。先行して制定している他の自治体では理念的な条例となっているきらいがあることから制定するなら実効性あるものとすべきと考える。
- 地区計画におけるグループホーム問題について
一部の地区計画において、地域で「障害者グループホーム」等の設置が難しくなり、罰則規定のある「地区計画条例」で法的根拠を付けられ設置ができなくなりました。私たちは障害があることが理由で、その地域で居住できないというのは差別であると考えています。結果としてグループホームを設置できない地区計画及び「地区計画条例」について、今後どのようにすべきとお考えですか。
- 戸建て型のグループホームが設置できない地区計画があるのは問題だ
その理由:住民の合意により地区計画を策定できることになっているが、良好な住環境を確保したいとの住民の願いは理解できるものの、地区計画で住宅のみとされるとグル−プホ−ム設置が困難となる。そのような意図がなかったとしてもグル−プホ−ム、障がい者の排除(施設コンフリクト)にもなりかねず障がい者差別にもつながってしまう。市自らが住民へそのような課題を適切に指摘し、ていねいに助言と説明をすることで住民の障がい者及びグループホームへの正しい理解と認識を深めることが必要と考える。
- グループホームにおけるスプリンクラー問題について
豊中市の障害者のグループホームの多くは小規模な一般住宅を活用して開設されており、夜間支援員が常駐する小規模なグループホームでの火災死亡事故はこれまで発生しておらず、安全性は検証されていました。
しかしながら、近年、消防法令では「寄宿舎」として取り扱われ、2015年の法改正により、小規模なホームであってもスプリンクラー設置が義務付けられるようになりました。一般住宅を活用しているホームが圧倒的に多い障害者グループホームへのスプリンクラー設置は、様々な面での困難があるとともに、普通の住まいからかけ離れ「施設化」し、本来の地域生活の理念からかけ離れるものであります。
今後、どのように対応されるべきとお考えでしょうか?
- 障害者グループホームへのスプリンクラー設置基準の見直しをするべき
その理由:障がい者の安心・安全を確保するためには、グル−プホ−ムにおいてもスプリンクラ−の設置が望ましい。一定規模の施設であれば必置にすればいいが、グル−プホ−ムの多くは公営住宅や民間の住宅を活用している現状を勘案すると必置としなくてもいいと考える。ただ、各自治体で判断するのではなく全国的に統一すべき事案であることから消防法令の改正を国に強く働きかけるべきと考える。
- 障害者市民の地域生活について
障害のある市民が家族と離れて暮らす際、グループホームだけでなく、ホームヘルパーを利用して地域で一人暮らしをされている方が多くおり、今後増加していくことが想定されます。しかし現在の豊中市のガイドラインでは、24時間介護を必要とする障害のある市民に対して1日あたり最大17時間の支給決定しかされておらず、残りの7時間は自費など、大きな負担を強いられています。24時間介護を必要とする障害のある市民が地域で安心して生活していくために必要な支援サービスの支給決定について、どのようにお考えですか。
- 豊中市として、24時間介護保障を目指すことが必要である
その理由:基本的には現行の重度訪問介護事業で対応する必要がある。本人の障害程度、その家族の状況等を勘案して市で規定する基準により給付決定しているが、実際、一律な判断になっていないか、機械的に決定していないかなど検証することが必要である。また、基準そのものが適切、妥当なものであるか検証することも必要であると考える。当事者やその家族等様々な意見も聴取したうえで基準の在り方を検討することが大事ではないかと考える。必要な人に必要な時に必要なサ−ビスが届くという福祉の基本理念に沿って対応していくことが重要と考える。
- 地域生活支援拠点のありかたについて
豊中市では、地域生活支援拠点として、民営化した「みずほ・おおぞら」にその役割を期待しています。一方で開所時の目的である「地域移行」は、スムーズに進められている自治体は数多くありません。以下どのようにお考えですか。
- 「地域移行」を進めるために、どのようなことが必要だとお考えですか。
障がい者施策の方向としては、地域移行を如何に推進するかが最も大事なことである。そのためには、地域の受け皿を整備することが必要であり、グル−プホ−ムや住宅の確保を計画的に整備していくことが求められる。また、地域での生活を支援するためのサポ−ト体制を整えることが必要であり、ホ−ムヘルパ−、ガイドヘルパ−、訪問系サ−ビス等を十分に整備していかなければならない。どのように重度の障がい者も地域で暮らせる社会が基本であり施設はあくまで通過点にすぎない。その意味から施設で自立につががるような適切な訓練等を実施することが求められる。なお、親の気持ちとしては「親亡き後」のことを心配しているので地域移行しても安心して生活できることの理解が得られるような啓発も必要と考える。
- 「常時介護を要する障害者等に対する支援について」、どのような取り組みをお考えですか。
基本的には、重度訪問介護制度を活用すること、またその制度の充実を図っていくことが必要である。それにより見守りから支援まで総合的に対応していくことが必要である。また他国で行われている当時者本人が直接、雇用し個人にできないこと、苦手なことを手伝ってもらえるパ−ソナルアシスタントの導入を検討してはどうかと考える。
- 地域生活支援拠点施設内で虐待などが起こらないために、どのような取り組みが必要だとお考えですか。
現在では、虐待の通報システムそのものはかなり整ってきていると考える。社会福祉法人以外の法人が使命感もなく単にビジネス目的で事業に参入してきた結果、職員(従業員)の質が下がってきており支援のノウハウも分からない職員(従業員)も多く存在いる状況にある。質を高めるため徹底した研修を行うことが必要であり、例えば研修を受けないとペナルティを科すといったような何らかの厳しい対応を講じないと改善しないのではと考える。
- 豊中市の施策推進に関して、障害当事者が参画し評価することの必要性について
障害者施策推進協議会など、障害福祉分野の協議会等にようやく当事者参加が実現していることは評価されることだと考えています。今後、バリアフリー等含め、障害福祉分野以外の市政全般の施策に障害のある市民が参画すること及び当事者市民による政策評価の仕組みが、真の共生社会の実現に向けて必要だと考えますが、どのようにお考えですか。
- どちらとも言えない
その理由:市では自立支援協議会が設置されており、その中に当事者も参画していただき意見をお聞きしながら施策・事業を進められている。また、この協議会で施策の評価・検証も行っている。この協議会は福祉はもちろん、例えば教育、住宅等様々な分野で障がい者に関する施策を議論する場であることから、まずはこのような既存の協議会の活性化や充実を図ることが必要ではないか。福祉分野に限らずあらゆる協議会、審議会等に障害当事者をということであれば当事者の参加の必要性の有無について委員等の意見もお聞きながら検討すればいいのではと考える。
回答は、以上です。
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